『シグルイ』は、長い平和の時代を迎えてもなお、武士の殺伐とした規律が和らいでいない江戸初期を舞台とする。徳川忠長の催す大会では、木刀は退けられ、試合は真剣で行われるため、型通りの競技は一瞬の油断で手足を失い、命さえ落としかねない見世物へと変貌する。
物語の中心にいるのは、片腕を失った藤木源之助と、盲目の伊良子清玄である。二人はいずれも、日本随一の剣士として名高い岩本虎眼の弟子であり、虎眼の流派を継ぐ正統な後継者は自分だと信じている。二人の対立は単なる闘技場での勝負ではなく、誇り、修行、そして認知をめぐる争いでもあり、それぞれが自らの傷が力を損なわないことを証明しようと決意している。
二人の道が交わるにつれて、シリーズはその衝突から周囲へ広がる暴力を追い、巻き込まれた男たちの運命を描いていく。その結果として浮かび上がるのは、野心と執着、そして平穏な時代の底に残り続ける残酷な理想を描いた陰鬱な肖像である。