『勇者のクズ』の舞台は、21世紀半ばの東京である。そこでは、エーテル強化手術によって恐るべき力を得た犯罪組織の首領たち「魔王」が、闇から世界を支配している。彼らに対抗するのが「勇者」と呼ばれる賞金稼ぎたちであり、薬物E3(イースリー)によって自らのエーテル能力をさらに高めている。合法的な殺しすら仕事の一部である世界では、栄光よりも生き残りが重要であり、どの契約も虐殺へと転じかねない。
この裏社会でもとりわけ恐れられているのが、死神の異名を持つヤシロである。独立のエンフォーサーとして単独で動き、危険な仕事も自分の条件で引き受ける彼の孤立した日常は、自分を弟子にしろと主張する女子高生・城ヶ峰が無理やり入り込んできたことで変化する。望まぬ相棒関係として始まったこの関係は、やがてヤシロを、対立する魔王たちとの衝突、激しい縄張り争い、そしてエーテルの力に支えられた犯罪をめぐる不安定な政治へと巻き込んでいく。
関係が深まるにつれ、ヤシロは迫り来る敵だけでなく、戦いから離れるつもりのない相手を教えたことの代償にも向き合わざるを得なくなる。