『言の葉の庭』では、東京の雨の朝、授業に出るよりも靴のデザインを描くことを好む高校生・秋月孝雄が、静かな庭へと足を運ぶ。そこで彼は、周囲の街から切り離されたように見える物静かな女性・雪野百香里と何度も偶然顔を合わせる。こうした出会いは、やがて雨と仕事、そしてそれぞれが抱える孤独によって形づくられた私的な習慣へと変わり、二人にとって世界が少しやわらかく、向き合いやすく感じられる短い居場所となっていく。
会話を重ねるうちに、その庭は、靴職人になるという孝雄の夢と、門の向こうに待つ重圧からしばし息を抜く必要のある百香里のための避難所となる。新海誠のこの作品は、移ろう空模様、降りしきる雨の静けさ、そして年齢の異なる二人の距離を通して、ささやかな理解の身ぶりがいかに大きな意味を持ちうるかを描く。『The Garden of Words』は、派手な見せ場へ向かうのではなく、静かなやり取り、ふと交わる視線、そして共有された場所が二人を前へ進ませてくれるかもしれないというはかない希望の中に、感情の力を見いだしている。