『天幕のジャードゥーガル』は、知恵が美とみなされ、知識が権力の行方を左右しうるハーンの後宮を舞台に展開する。13世紀、世界史上最大の帝国とされるイェケ・モンゴル・ウルスを背景に、物語は、これまでにないほど磨き上げられた医術と科学知識を携えて現れるペルシア出身の女性ファーティマを追う。彼女は自らの能力をようやく生かせる場を求めてモンゴルの宮廷にやって来るが、そこで待ち受けていたのは宮廷生活の危険な論理であった。
そこでファーティマは、第2代ハーン・オゴデイの第6夫人であるトゥレゲネの庇護を受けることになる。トゥレゲネは帝国の行方に複雑な思いを抱く手強い人物であり、ファーティマとの関係によって、両者は宮廷政治の中心へと押し上げられる。同盟関係が揺らぎ、野心が表面化するにつれ、2人の絆は、宮廷の陰謀、ひいてはやがてより広い世界をも動かす軸となっていく。