タネナシ高校を舞台にした『手品先輩』は、できるだけ楽をして学校生活をやり過ごせる部活を探している1年生を中心に描く。最も気楽に時間をつぶせる場所を求めてさまよっていた彼は、手品部の部室に迷い込み、真剣な熱意で手品の練習に励む魅力的な上級生と出会う。彼女は明らかに手品に打ち込んでいるが、あがり症のせいで本番はことごとく台無しになり、観客を驚かせようとするたびに恥ずかしい失敗へと転がっていく。
何気ない部室での出会いは、たちまち、ぎこちない練習や失敗した手品、思わぬ騒動が続く日常へと変わる。1年生の彼は、これほど頼りない手品師が率いる部に入ることには乗り気ではなかったものの、結局は新入部員となり、少しずつ彼女の混沌とした世界に引き込まれていく。彼が彼女の奇抜な言動に対するツッコミ役となることで笑いが生まれ、からかいと狼狽、そして不承不承の協力が入り混じる場面を、2人はたどたどしく切り抜けていく。
『手品先輩』は、大きなドラマに頼るのではなく、少人数のキャスト、1つの学校という舞台、そして短いコメディ場面の積み重ねによって魅力を築いている。その結果、恥ずかしさと対比、そしてぐうたらな下級生と、どうにも手品をやり切れない上級生との間に育まれる奇妙な絆によって形作られた、遊び心のある学園コメディとなっている。