『スーパーカブ』は、親も趣味も友人も目標もなく、十代の支えとなるものをすべて失ったかのように感じている、控えめな性格の高校2年生・小熊を描く物語である。ある日の午後、帰宅途中の彼女は原付スクーターを買おうと車両販売店に立ち寄るが、最も安いモデルでさえ手の届かない価格だと知る。手持ちの金も少なく、彼女は落胆したままその場を立ち去ろうとしていた。
諦めかけたその矢先、店主は中古のホンダ・スーパーカブを1万円で彼女に勧める。小熊は、この機械が単調な日々に少しでも彩りを添えてくれるかもしれないと思い、それを受け入れる。実用的な買い物として始まった出来事は、やがて静かな変化の中心となる。町を走り回り、ちょっとした用事をこなすうちに、彼女はささやかな冒険や新しい日常、そして思いもよらなかった友情へと導かれていく。日々の移動の穏やかなリズムの中で、『スーパーカブ』は、ひとつの素朴な機械が自立と自信への扉を開き、ようやく前へ進んでいると感じられる人生へつながっていくさまを描いている。