『小市民シリーズ』は、鋭い観察眼を持ちながら、他人の問題に首を突っ込まずにはいられない十代の少年・小鳩常悟朗を描く。自分の推理力が望まれてもいなければ評価もされていないと悟った彼は、内気な友人の小佐内ゆきと「小市民」になることを約束し、静かな暮らしを送ろうとする。高校進学後、2人はごく普通の生徒として振る舞おうと努めるが、小鳩は身の回りで次々と起こる小さな謎や奇妙な出来事からどうしても離れられない。
穏やかで平凡な学校生活を送るつもりだった2人の計画は、やがて緊張感のある綱渡りへと変わっていく。何気ない出来事であっても、小鳩と小佐内を目立たないままでいようとする試みに揺さぶりをかけ、学校での毎日は、その約束をいつまで守れるのかを試し続ける。本作は、日常の謎と人物ドラマを織り交ぜながら、周囲に溶け込みたい気持ちと、何かがおかしいと感じたときに調べずにはいられない本能との間にある、落ち着かない距離感を描く。ささやかな事件、個人的な野心、そして、特別であるよりも目立たないことを望む2人の生徒の危うい友情によって、その魅力を形作っている。