『彩雲国物語』の主人公・紅秀麗は、名家でありながら貧しい家に育った聡明な娘で、官吏となって国に尽くすことを夢見ている。しかし、女性がその職に就くことは禁じられており、その志は実現不可能にも思える。父が宮中で薄給の書庫番として働く一方、秀麗は生計を立てるためにさまざまな仕事を掛け持ちしている。そんな彼女の人生は、ある異例の任務のために宮中へ呼び出されたことで大きく変わり始める。
秀麗が補佐を命じられたのは、新帝・紫劉輝である。政務を怠りがちで、男性を好むとの評判まで立っていた彼の振る舞いは、宮廷でも懸念の的となっていた。高額の報酬にひかれた秀麗は、6か月のあいだ若き皇帝の妃となる役目を引き受ける。もっとも、彼女は一人で宮中に入るのではない。信頼する友人の静蘭も、劉輝の護衛として同行する。新帝を責任ある君主へと導く務めを負った秀麗は、宮廷での暮らしと政が、重要であるのと同じくらい厄介なものであることをほどなく知ることになる。
架空の国を舞台とする本作は、あるべき統治の姿と、それを取り巻く苦難、そして国が繁栄することで得られる実りを中心に描いている。