『フォトカノ』は、穏やかな性格の高校二年生カズヤ・マエダを中心に描く作品である。日々の決まりきった生活に、息苦しいほどの平凡さを感じ始めていたカズヤは、夏休みが終わりに近づいたころ、父からデジタル一眼レフカメラを贈られる。その新しい趣味は、彼の学校生活の見え方を大きく変えていく。構図の作り方を学び、残す価値のある瞬間を探すうちに、これまで背景に溶け込んでいた表情や場所、ふと過ぎていく一場面に目が向くようになり、見慣れた日々でさえレンズ越しには違って感じられることを知っていくのである。
そうした好奇心は、彼の身近にいる少女たちとの距離を縮めていく。人気者の幼なじみであるハルカ・ニイミ、ソフトボール部の運動神経抜群のエース投手ノノカ・マサキ、生徒会を率いるアキ・ムロト、写真への情熱を分かち合うヒカリ・サネハラ、気弱なクラスメートのトモエ・ミスミ、料理研究会にただ一人所属するリナ・ユノキ、そして妹カノン・マエダの友人であるマイ・サクラである。写真を撮りたいという関心から始まったものは、やがて写真のためにポーズを取ること、共に時間を過ごすこと、そして本当の意味で見つめられることが重なり合っていく一連の個人的な触れ合いへと変わっていく。カズヤの世界が広がっていくなかで、本作は、芸術的な魅了と青春の恋愛、そして何気ない日常を一変させる小さな感情の揺れ動きが交差する境界をたどっていくのである。