「キミキス pure rouge」は、幼なじみの水澤摩央が数年間のフランス滞在を終えて帰国したことをきっかけに、真田光一と相原一輝の物語が動き出す作品である。摩央の両親が当面はなお海外に滞在するため、彼女が光一の家で暮らすことになったと知り、光一は驚かされる。こうして三人はかつて共有していた日常のリズムを取り戻していくが、高校生活はもはや以前のように単純なものではない。離れていた時間と距離は彼らの関係を変えており、恋愛感情が絡むことで、見慣れた振る舞いや習慣も別の意味を帯び始める。
物語はこの三人にとどまらず、甲斐栄二、星乃結美、二見瑛理子、咲野明日夏らも感情の中心に据えた群像恋愛劇へと広がっていく。授業や放課後のひととき、家庭での時間が積み重なるなかで、すれ違い、静かなためらい、そして難しい選択が、かつて揺るがないように見えた友情を試していく。ありふれた日々、昔の約束、口にすることの難しい思いが織り成すのは、思春期を地に足の着いた筆致で描いた青春像であり、親しさが不確かなものへと変わりうるなかで、大切なものを変えてしまうかもしれない危うさを引き受けてもなお、恋が成り立つのかが問われていく。