『城下町のダンデライオン』では、桜田家のきょうだいたちが、父である国王の望む異例の生活ではなく、多くの子どもたちが当たり前のものとして過ごすような普通の暮らしを送ろうとする。王家の一員である9人のきょうだいはそれぞれ固有の能力を持ち、彼らの安全を守るために町には2000台を超える監視カメラが設置されている。さらに、9人全員が王位継承候補とされ、次代の統治者は単純な世襲ではなく選挙で選ばれる。
重力を操る臆病な三番目の娘、桜田茜にとって、こうした絶え間ない注目は悪夢にほかならない。カメラは彼女の一挙手一投足を追い、家族の日常生活までも桜田家専用のニュースチャンネルで放送されている。もし彼女が国王になったなら、この監視体制を完全になくすことを決意しているが、そのためにはまず、自分が統治にふさわしい人物であると世間に認めさせなければならない。選挙戦が始まるなか、次代の国王をめぐる争いは町全体を政治の舞台へと変え、茜はライバルだけでなく、自身の内気さとも戦うことになる。