『氷菓』は、灰色で省エネな生活を送り、できるだけエネルギーを温存することを信条とする高校1年生・折木奉太郎を描く。静かな日常は、姉の智恵から、部員のいない古典部の廃部を阻止する手伝いをするよう命じられたことで終わりを迎える。折木が部室へ行くと、同級生の千反田えるがすでに入部しており、その明るい好奇心に引かれるようにして、彼は自分の本意に反して古典部へ巻き込まれていく。
厄介事として始まった出来事は、やがて折木の学園生活の中心となる。友人の福部里志と伊原摩耶花が加わって古典部の部員が4人になると、彼らは日常の中に漂うささやかな謎を解き明かす日々を送る。尽きることのない千反田の好奇心に導かれ、彼らは一見些細な出来事、うろ覚えの噂、そして奇妙な小さな謎を調べ上げ、平凡な日々の内にどれほどの緊張感と魅力が潜んでいるかを浮かび上がらせていく。『氷菓』は、控えめなユーモア、丁寧な観察、人物描写を軸としたドラマを織り交ぜながら、折木が周囲の人々や問いに向き合わざるを得なくなる姿を描く。