『HAL』は、恋人のハルを突然の飛行機事故で失った若い女性・くるみを描く。喪失を乗り越えられず、小さな家に閉じこもって悲しみに沈むくるみに寄り添うため、祖父は孤立を和らげる目的で送り込まれた人型ロボットQ01に助けを求める。Q01はハルの姿をまとい、毎日のように彼女のもとを訪れては、絶望から連れ出し、再び世界と向き合う理由を与えようと根気強く働きかける。
当初、くるみはそのアンドロイドの存在を拒み、愛した男を痛ましく思い出させるだけだと感じている。しかし、Q01が何度も訪れ、粘り強く寄り添い続けるうちに、彼女は少しずつ心を開き、人間の悲しみと機械の共感との距離は次第に縮まっていく。だが、その見慣れた顔の下には、二人の絆の意味を変える、より深い謎が潜んでいる。それは、愛すること、悲しむこと、そして失恋のあとも前へ進み続けることの意味を、双方に問い直させる。『HAL』は、恋愛、憂鬱、SFを織り交ぜながら、癒やし、記憶、そして喪失のあとにもなお育まれうる脆い絆を静かに描く物語である。