efは、記憶が愛やアイデンティティ、そして人が下す選択をいかに形作るかを問いかける、二つの絡み合う恋愛物語で展開する。クリスマス・イブ、広野紘は、財布を盗んだ男を追うために自転車を「借りた」宮村みやこと出会う。紘が壊れた自転車と意識を失ったみやこを見つけたことから、二人は思いがけず一夜を共にし、その偶然の縁は、同じ高校に通っていると分かっていっそう深まっていく。その親密さは紘の幼なじみである新藤景の嫉妬を呼び起こし、また、誠実に生きる彼女の姿は、完璧な一枚を求める女たらしの写真家、堤京介の目も引く。
同時に、女の子の白馬の騎士になることを夢見る少年・麻生蓮治は、誰もいない廃駅で、ひとり静かに本を読む内気な少女・新藤千尋と出会う。二人はすぐに親しくなり、やがて一緒に小説を書くことを決めるが、蓮治が千尋の秘密を知ったとき、彼の子どもじみた理想は試されることになる。
二人の謎めいた大人に導かれながら、若者たちの関係は、愛、拒絶、受容、そしてそれぞれの選択のあとにも長く残り続ける記憶をめぐる、胸を締めつける物語として絡み合っていく。