『Dies irae』は、凄惨な連続斬首殺人事件が日常を揺るがす現代の諏訪原市を舞台に幕を開ける。主人公の藤井蓮は、かつての親友であった遊佐司狼との激しい喧嘩の後遺症から立ち直ろうとしていたが、ようやく取り戻しかけた平穏な学園生活は、自身がギロチンで死刑を宣告される悪夢を見るようになったことで一変する。その幻視は不気味なほど現実に近く感じられ、市内に広がる殺人事件は、悪夢と現実の境界をいっそう曖昧なものにしていく。
死が重なるにつれ、綾瀬香純や氷室玲愛をはじめとする蓮の周囲の人々も、殺人が起こる街路をはるかに超えた規模の争いへと巻き込まれていく。櫻井螢、謎めいたマリィ、そして水面下に潜むほかの人物たちは、蓮がまだ理解していない力の中枢近くに位置している。立場は揺らぎ、古傷は再び開き、埋もれていた歴史が現在へと押し寄せることで、諏訪原は1945年5月1日にベルリンでナチス将校たちが執り行った儀式と結び付いていく。学園劇、オカルト・アクション、心理ホラーが交錯するなか、街は個人的な遺恨と超常の力、そして信じがたい真実が激突する舞台となる。ひとりの殺人鬼をめぐる謎として始まった物語は、やがて蓮の世界を形作る力と、主要人物たちを結び付ける絆をめぐる闘争へと発展していく。