『クロスゲーム』は、近所同士の家族に育った二人の少年少女、樹多村光と月島青葉を描く作品である。二人の人生は、長年にわたり友情と家業を通じて深く結びついてきた。光はキタムラスポーツを営む家の一人息子であり、青葉は月島家のバッティングセンターで育つ。両家はまるで大家族のように互いの家を行き来する間柄である。とはいえ、光と青葉は何かにつけて意見が合わない。光は野球に無関心な態度を見せるが、長くバッティングケージのそばで過ごしてきたことで、知らず知らずのうちに天性の打者となっている。一方の青葉は野球に情熱を注ぎ、幼いころから優れた投手としてのフォームと才能を備えている。
二人のライバル関係には、青葉の姉である月島若葉の存在もまた強く結びついている。若葉のあたたかさは両家の絆をより深いものにしており、光と若葉の結びつきは、青葉に嫉妬と感情的な緊張をもたらす要因となる。光と青葉が皮肉を言い合い、競い合い、互いの誇りを試し合うなかで、野球は意地や親愛、そして言葉にされない感情が二人の成長を形づくる場となっていく。『クロスゲーム』は、小さな対抗心、胸の内に秘めた願い、そしてその意味を本人たちが理解するより前から定められていたかのような関係に応えようとする重圧からドラマを生み出し、光と青葉を自己認識へ、さらには当人たちにも容易には定義できない結びつきへと導いていく。