『AIR』は、放浪の人形使いである国崎往人が、母から昔聞かされた「はるか昔に空に縛られた翼を持つ少女」を探し出すという約束を胸に、町から町へと旅を続ける物語である。京都アニメーションによるKeyのビジュアルノベルのテレビアニメ化では、その旅の果てに静かな海辺の町へたどり着き、そこで往人は観鈴という風変わりな少女と出会う。彼女に招かれたことで、往人は当初の予定より長くその町に滞在することになる。町に馴染むにつれて、往人は住民たちと親しくなり、彼らの日常に潜むさまざまな苦悩へ徐々に引き込まれていく。そして、自身の探し物はいったん脇に置いたまま、人々を助けるようになる。晴子、佳乃、みちる、そして観鈴の周囲にいるほかの人々は、それぞれが町に隠された感情の風景に新たな一片を加え、古い伝承は遠い昔話というより、彼の周囲の人々の生き方を今なお形作るものとして感じられるようになる。人形使いとしての仕事、母との約束、そして町の人々との間に築いた絆のあいだで揺れる往人は、翼を持つ少女がなお手の届かない存在なのか、それとも想像以上に近くにいたのかを見極めなければならない。